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システム連携とは? メリット・デメリットと連携方法の種類

システム連携とは? メリット・デメリットと連携方法の種類

企業は業務効率化のため、勤怠管理システムやマーケティングオートメーションツール、営業支援システムなど、複数のシステムを導入しています。そして、近年においては各アプリケーションを単独で運用するのではなく、システム同士を連携させて、さらなる成果を効率的に得ようとする企業が増えています。実際に、データ連携等を行うために、システム連携の導入を検討している方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回はシステム連携についての基礎とメリット、代表的な連携方法を解説します。興味のある事業責任者、新規事業企画担当者はぜひ参考にしてください。

1. システム連携の基礎知識

まずは、システム連携の基礎知識について解説します。具体的にどのような意味を示すのかがわかるので、ぜひ参考にしてください。

〈1〉システム連携とは?

システム連携とは、使用目的の異なるそれぞれのシステム間でデータ共有及び処理ができるようにする仕組みのことです。企業が利用しているアプリケーション内に個々に蓄積されたデータを、アプリケーションを超えて共有することで、より有効的にデータ活用ができるようになります。また、企業の業務提携や統廃合を行うケースにおいてもスムーズにデータを共有することが可能です。

システム連携を考える上で欠かせない言葉に、EAIとETLがあります。EAIは、Enterprise Application Integrationの略で、企業内にあるアプリケーションを統合するための基盤システムやアプリケーションのことを指します。一般的に、専用のミドルウェアを利用して拡張性やシステム基盤の柔軟性を考えて作られます。

一方、ETLはデータ連携する際に必要な工程のことです。システム連携をする際、基幹システムからデータを抽出して、利用しやすい形式に加工し、ほかのアプリケーションのデータベースに書き出さなければなりません。これらの工程をまとめてETL(Extract Transform Load)といいます。

〈2〉システム連携の主な例

システム連携の代表例をご紹介します。

・SFAツールとMAツールの連携

SFAツールのSFAとは、Sales Force Automationの略で、一般的に営業支援ツールを意味します。このツールは、クライアントへの営業活動に関する情報を記録したり、管理したりすることが可能です。また、過去の商談履歴や案件の進捗状況なども確認することができます。つまり、営業情報を集約し、一元管理できるツールです。

一方、MAツールは、Marketing Automationの略で、マーケティングオートメーションツールを意味します。ユーザー属性やwebページへのアクセス履歴・頻度などからデジタルマーケティング施策を最適な形で行い、見込みのあるクライアントとの商談を効率化できるツールのことです。

SFAツールとMAツールを連携させることで、リードの獲得から受注までを効率化できます。例えば、MAツールに蓄積された情報を分析して見込みの高い顧客のみを営業担当者に引き継ぐことが可能です。従来SFAツールの利用だけではわからなかった、webの閲覧履歴などの見込み顧客時点のデータが連携され、営業担当がその情報を確認することができるため、営業効率をアップさせることができます。

・勤怠管理システムと給与計算システムの連携

勤怠管理システムは、勤怠管理業務を自動化してくれるアプリケーションのことです。一方、給与計算システムは従業員の勤怠管理データから給料を自動で計算してくれるアプリケーションです。

勤怠管理システムと給与計算システムを連動させることで、それぞれの社員の勤務時間と残業時間に合わせて給与計算を自動で行うことが可能です。システムが連携していない場合、人力によりデータをコピーさせる必要がありますが、この際に発生するミスを予防できるなど、さまざまな課題を解決できます。

2.システム連携のメリット・デメリット

次に、システム連携のメリットとデメリットを解説します。良い点と悪い点をぜひご確認ください。

〈1〉メリット

システム連携の主なメリットは下記の3つです。

1. 現状が把握しやすくなる

システム連携をすることでデータを一元管理することができます。これにより、会社全体の状況が可視化されます。例えば、商品データを追跡すれば、その商品の現在位置や配送の経緯を確認できます。特定の製品の居場所を探すために、時間を浪費する心配がなくなるため、業務効率化を実現できます。

また、可能な限り新しい情報を取得することができることもメリットです。業務において、古いデータを使用すると誤った判断をしてしまう危険性があります。そのため、参照するデータは新しい必要があります。システム連携をすることで、新しいデータを共有することができるため情報の信頼性が高くなります。

2. 新たな顧客のニーズが掴める

社内の基幹システムにある大量のデータを収集し分析することで、新たな顧客のニーズを知ることができます。その結果、新規顧客を増やし、新しいビジネスチャンスを掴む可能性が生まれます。そして、最終的には企業の収益貢献につながる点は大きいメリットです。

3. コスト削減しやすい

異なるシステムから手作業でデータを収集する場合、人力で情報を入力しなければならないため、時間も人件費もかかります。また、人がデータを入力する場合、ヒューマンエラーが発生する原因にもつながりかねません。システム連携をすればこれらの問題を解決できます。データの共有を自動で行えるため、時間やコストを削減することが可能です。

〈2〉デメリット

システム連携のデメリットは、複雑になりやすい点です。既存システムと新しいシステムが混在した状況になるため、ユーザーインターフェースが使いづらくなることもあります。

〈3〉注意点

システム連携を検討する際の注意点もあります。

すでに導入している製品に新しい機能を追加しようとする場合、製品によって連携に対応していないことがある点です。アプリケーションによって連携機能がなかったり、使用している製品が非対応だったりするケースがありますので、事前によく確認することをお勧めします。

3. システム連携の主な方法

システム連携の主な方法は下記の3つです。どのような方法があるのか、ぜひ参考にしてください。

〈1〉 ファイル転送

データ連携のもっとも基本的な手法となります。ネットワークを通じてサーバーなどにファイルを送信する方法で、アップロードという言葉のほうが馴染み深い方も多いかもしれません。

データを送ろうとしているシステムが必要な情報をCSV形式などのファイルとして出力し、そのファイルをFTPやSMBと呼ばれる一般的な通信方式を用いて、受け取る側のシステムに転送します。受け取る側のシステムは転送されたファイルをインポートすることで連携します。

ファイル転送のポイントは2つあります。

  1. 送信側と受信側にそれぞれ必要情報を出力、入力できる機能がすでに備わっていれば、開発などは行わず、連携は比較的容易に行うことができます。ただし、連携したい情報が確実に連携できるかは、既存システム次第ですので注意が必要です。
  2. 機能追加で開発する場合、大量のデータを連携する方法としては優れる方法です。ただしリアルタイムでの連携には向かないため、多くの場合、一定の間隔で連携させる方法として用いられます。

技術的な解説をすると、ファイル転送をするときはFTPやSMBというプロトコルを用いて大量のデータを送信します。

FTPとは、File Transfer Protocolの略称でファイル転送プロトコルのことです。クライアントサイドとサーバー間でファイルをやり取りする際に使われる転送方法です。

一方、SMBとは、Server Message Blockの略です。同じく、ファイル共有をする際の通信プロトコルを意味します。ファイルをプリンターに共有する際に使われることが多いプロトコルです。

FTPを利用してファイル転送をすれば、システムのプログラムに変更を加える必要がありません。そのため、システム障害に強い手法です。一方、サーバーが増えると処理速度が遅くなる可能性があるため、リアルタイムのシステム連携には不向きといえます。

〈2〉メッセージ連携ツール

メッセージキューを用いてデータをやり取りします。

メッセージキューは、異なったアプリケーション同士でメッセージを送受信する方法のことです。メッセージキューで送信されたデータは第三者のソフトウェアのキューというデータ領域に保存されます。そして、受信者がそのデータを取り出したら、メッセージを受信するという仕組みです。受信は自分のタイミングで受け取れます。また、メッセージはキューに保存された時点で送信完了となるため、受信処理を待たなくても良い点がメリットです。特に、非同期処理が求められるシステムに向いているといえます。

〈3〉 Webサービス(Web API)

HTTPやHTTPSの標準技術を使用し、アプリケーション連携を行う方法になります。

Web APIを使用した場合、メッセージはXML形式などが用いられます。そして、この際にはSOAPやRESTというプロトコルが使われます。SOAPは、Simple Object Access Protocolの略で、ネットワークを通じてデータをやり取りする軽量なプロトコルです。規定されているのはデータ構造のみでHTTPやSMTPにも対応しています。

RESTは、Representational State Transferの略称で、ウェブのような分散ハイパーメディアシステムで使用することができるアーキテクチャのことです。特徴はWebの仕組みをそのまま利用することで、Webアプリケーションやソーシャルゲームなど幅広い分野で使用されています。

Web APIを使うことでシステム内部に精通していない人でもシステム連携させることが可能です。また、社外の関係者に社内システムのアプリケーションを提供できます。そのため、リモートワークの推進などにも活用することができるでしょう。

まとめ システム連携で業務をスリム化

システム連携は企業に多くの恩恵をもたらします。例えば、業務の効率化やコスト削減などです。これまで大変だった手作業による情報収集や分析、または入力作業、そこから発生するヒューマンエラーを抑制できます。導入がなされていない企業は、これを機会にシステム連携についてぜひ検討してみてはいかがでしょうか。