シェアリングエコノミーとは? 普及状況や注目される背景なども解説

「シェアリングエコノミー」とは、個人が所有する有形・無形の「資産」をより多くの人が柔軟に使用できるよう、貸し主と借り主を結び付け、シェアする仕組みです。昨今シェアリングエコノミーのサービスが普及していますが、その背景には消費者の価値観の変化や技術の発展があります。普及状況やサービスの具体的な事例も含め、解説します。

シェアリングエコノミーの意味

「シェアリングエコノミー」とは、個人が所有している資産の貸し借りを媒介する仕組みのことです。モノや場所の「所有」の時代から「使用」の時代になり、所有しているモノ・場所を貸し出して収益化する貸し主と、必要なモノを必要なときに使いたい借り主をマッチングします。インターネット技術の普及もあり、国内外でさまざまな業界におけるシェアリングエコノミーが進んでいます。

シェアリングエコノミーが注目される背景にあるものとは

では、なぜシェアリングエコノミーが急速に注目されるようになったのでしょうか。人々の価値観と、技術の進展の2つの観点から解説します。

価値観の変化

戦後の経済復興の時代では、モノが増えていくにつれ、人々の幸福度も上昇していく時代でした。まだまだモノが足りていなかった時代背景もあり、モノの豊かさが重視され、「所有」への欲求も高かったのだと思われます。モノをたくさん所有していればそれだけ幸福度も増す、という価値観が主流だったのです。

しかし、今のモノが溢れる時代において、「所有」への欲求がしだいに希薄化してきました。実際、内閣府の国民生活世論調査のデータによると1980年くらいから「所有」への欲求に変化が見られます。つまり、モノの豊かさから心の豊かさを重視するようになってきているのです。
参照元:内閣府「国民生活に関する世論調査 令和元年」

この価値観の変化のもとで、人々はモノを所有しなくなりました。昨今叫ばれている「若者のクルマ離れ」もこの文脈で説明できるでしょう。レンタカーやカーシェアで必要なときに自動車を使用できればよい、というのが現代の考え方です。仕事場への往復や休日だけの利用であれば、自動車を所有せずに必要なときだけ利用できればよいと考えるようになったのです。

技術の発展

人々の価値観が変化しただけでは、これほどシェアリングエコノミーが広がることはありません。不動産の「賃貸」もある意味「シェアリングエコノミー」の一環で、昔から社会に普及している仕組みです。近年普及しているシェアリングエコノミーのサービスとはどのような違いがあるのでしょうか。その背景にあるのが、インターネットを中心とした技術の発展です。

スマートフォンの普及と、インターネット技術の進展によって、さまざまな取引が低コストで素早く行えるようになりました。シェアリングエコノミーの文脈でいえば、貸し出したい人と借りたい人のニーズのマッチングが瞬時にかつ容易に実現できるようになったのです。

ユーザーは、スマートフォンひとつあればサービスを利用できます。これにより、賃貸物件のように使用年数の長いサイクルのものだけでなく、カーシェアなど短いサイクルのサービスについてもシェアリングの仕組みが応用できるようになりました。

また、SNSが広まることで、ユーザーのレビューが大量にアップロードされるようになり、シェアリングエコノミーにおいて重要な「信頼性」が、お互い顔が見えないなかでも担保できるようになったことも大きな要因といえます。

シェアリングエコノミーの普及状況

では、シェアリングエコノミーが実際にどれくらい普及しているのか、海外とも比較しながら見ていきましょう。

日本の状況を見てみます。消費者へのアンケートを基に総務省が2018年に公表した「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」によると、消費者のシェアリングエコノミーに対する認知度が一定割合にまで上昇していることがわかります。

図表2-3-5-5 シェアリングサービスの認知度(複数回答、日本)
例えば2017年時点でシェアリングサービスの認知度を見てみると、駐車場のシェアリングサービスで23%、Uber(ウーバー)に代表されるライドシェアで14.2%、Airbnb(エアビーアンドビー)をはじめとする民泊サービスでは31.5%となっています。認知度の面では、日本にシェアリングエコノミーが普及してきているといえます。

しかし海外と比較すると、日本における実際の普及状況はまだ遅れています。認知度については、ライドシェアを除き欧米の国々と比較して差が少ないものの、実際にサービスを利用した経験のある人の割合は大きく差がついています。

図表2-3-5-8 シェアリングサービスの利用経験(複数回答、国際比較)
例えば、アメリカと比較した場合、駐車場シェアの利用経験では日本が9.1%、アメリカは16.7%です。ライドシェアにおいては、日本の4.9%に対しアメリカでは36.9%、民泊サービスについては日本の4.9%に対しアメリカで16.2%となっています。

特にライドシェアや民泊サービスについては海外発のサービスであることや、法整備の違いなども影響していると考えられますが、今後は日本でもさらに普及が期待されています。矢野経済研究所による調査でも、シェアリングエコノミーの経済規模が拡大していくという予測が発表されています。
参照元:総務省 情報流通行政局「ICTによるインクルージョンの実現に関する 調査研究」
参照元:矢野経済研究所「2020 サブスクリプションサービスの実態と展望」


シェアリングビジネス(シェアリングエコノミー関連ビジネス)の事例

最後に、シェアリングエコノミーに関連したビジネスについて具体的な事例を3つご紹介します。

Uber

ライドシェアサービスの代表が、アメリカ発のサービスであるUberです。日本では、UberEats(ウーバーイーツ)で広く知られています。Uberは、空いた時間にドライバーとしてお金を稼ぎたい人と、より手軽にあるいは安く乗車サービスを利用したい人をマッチングするプラットフォームです。ドライバーは、自動車さえ所有していれば働くことが可能です。従来のタクシー業者と比較すると、タクシーという固定資産や社員を抱える必要がなく、より安い価格でサービスを提供できます。一方、利用者はスマホひとつですぐに呼び出すことができ、目的地までサービスを利用できます。

Airbnb

民泊の分野では、Airbnbが広く知られたサービスです。空いている部屋を貸して収益を得たいホストと、部屋を借りたい旅行者などを結び付けるプラットフォームです。これも、従来のホテルなど宿泊サービスと比較すると、Airbnbは自社で不動産を抱える必要がなく、多種多様な宿泊サービスを利用者に提供できます。また利用者は、予算やニーズにあった宿泊場所を手軽に探せるメリットや、ホテルがない場所でも宿泊先が見つけられるというのも魅力でしょう。

ココナラ

ココナラは、スキルシェアサービスを提供しています。これは、個人が持つ専門性やスキルを活かして収入を得たい人と、何かスキルを習得したい人や仕事を依頼したい人をマッチングします。これにより、隙間時間にも働ける、自分のブランドを確立できるといったような、フリーランスの働き方の幅が広がっています。提供側であるココナラは、スキルを持つ人を固定費として抱える必要がなく、柔軟にサービスを提供することができます。

まとめ

モノの「所有」から「使用」へと世の中が移り変わるなかで、シェリングエコノミーのビジネスが拡大しつつあります。「働き方改革」とも親和性があり、個人の持つ資産やスキルを無理せず可能な範囲で提供することで収入を得るという、柔軟性の向上が期待できます。

変化する人々のライフスタイルとシェアリングエコノミーをどう組み合わせることができるか、また人々がどんなところに不便を感じているかなどを考えながら、最新の技術と組み合わせることで、さらに新たな需要の掘り起こしができるかもしれません。