サブスクリプションビジネスでの決済代行会社導入のメリット

一定期間・定額でサービスを利用する権利を販売するサブスクリプション型のビジネス事業者の間で、決済代行が注目されています。
サブスクリプションを展開する事業者の決済業務を効率化する決済代行ですが、その仕組みやメリットに加え、決済代行会社を選ぶときの注意点も説明します。

サブスクリプションにおける決済代行の仕組み

まず、サブスクリプションビジネスの定義について確認していきましょう。
「サブスクリプション」とは、“特定の期間、サービスを利用する権利“を定額で販売するビジネス手法です。
例えば、有名なサブスクリプションサービスに、月額980円で音楽が聴き放題というApple社のストリーミングサービス「Apple Music」があります。
ユーザーには音楽ソース自体の所有権は与えられませんが、音楽を定額で好きなだけ視聴できることがメリットです。
事業者側には、毎月固定の収入が得られ、また事前に売上額が予想できるというメリットがあります。

サブスクリプションの決済方法は、クレジットカード・携帯電話会社のキャリア決済・ギフトカード・コンビニ払いなど多数の選択肢があり、ユーザーにとっては便利です。 ただし、事業者側は各決済サービスと個別に契約し、システムを作り込む必要があり、料金の回収業務が複雑化するだけでなくハイコストになるという課題を抱えています。

そこで、サブスクリプション事業者の決済業務の負荷を減らすため、「サブスクリプション型ビジネスにおける決済代行」が生まれました。
決済代行会社がさまざまな決済サービスの代理店として、決済業務を代行するというビジネスです。

決済代行を利用しない場合は、事業者自身が各クレジットカード会社(アクワイアラー)に対し、加盟店契約・売り上げの入金をします。
また、クレジットカード会社が決済に関する仕様変更を行った際は、決済システムも追従して改修する必要があり、本業ではない対応に開発リソースを割かなければなりません。また、仕様変更に伴って運用方法を変更する必要が出てくる可能性も考えられます。

決済代行を利用する場合は、決済代行会社が各クレジットカード会社と「包括代理契約」を結び、決済処理に必要な運用やシステム構築を行います。
サブスクリプションサービスを展開する事業者は、決済代行会社と契約することで加盟店契約・クレジットカード会社に対する入金・システム変更などを一任できます。代わりに、決済代行会社へは代行手数料というかたちで、報酬を支払います。
以上のような仕組みで決済代行が行われていきますが、次に、このサービスを利用するメリットについて詳しく見ていきましょう。

サブスクリプションビジネスで決済代行を導入するメリット

サブスクリプション型ビジネスにおいて、決済管理を代行会社に委託する場合、サービスを利用するメリットは以下のようになります。

決済サービス導入時のメリット

自社で決済サービスと契約しようとすると、情報収集や比較検討、検証など、導入前に導入のための工数・コストがかかります。
また、審査基準は決済サービスごとに異なるため、審査を通すための対応が必要ですし、審査通過後も個別に契約を締結しなくてはなりません。
こうした作業は、手間がかかるだけでなく、どれだけの時間を要するか予測しにくい業務が発生する可能性もあり、負担は大きなものです。

決済サービスの中には、契約書類を英語で作成・提出しなければならないサービスも存在します。その場合は、人的な工数だけではなく専門家を雇用する費用などが発生することもあり得るのです。

そこで決済代行会社の出番です。決済代行会社を利用することで、このような導入前にかかるコストや比較検討・審査に関する時間が抑えられ、自社のサブスクリプション型ビジネスの企画や運営に集中できることは大きなメリットになるはずです。

また、自社で決済サービスを契約しようとすると、社内で高度なセキュリティを担保したシステムを構築する必要がありますが、決済代行を利用すれば、このようなシステム開発に係る負担も軽減されます。

決済サービスの運用中のメリット

売り上げ確定日や入金日は、決済サービスごとに異なります。
決済代行を利用していない場合、入金の確認や収支の計算をすべて自社内で行わなくてはならないため、特に月末や月初に事務作業や経理業務が集中してしまいます。
また、各決済サービスを管理するツールはサービスごとに異なるため、自社内で決済管理をする場合、複数のツールを使い分けて管理しなくてはなりません。

決済代行を利用することで、経理業務の負荷が減り、漏れやミスが防げます。
各決済サービスからの入金も一元管理できるため、全決済サービスからの売り上げをまとめて把握できるようになります。
それまで必要としていた工数を省くことで、事務作業や経理業務の作業効率は飛躍的に向上するでしょう。

さらに、ユーザーのニーズの変化へ対応するために決済サービスを追加する場合にも、決済代行のメリットがあります。
決済サービスを追加する際には、システム更新やメンテナンスを行う必要があり、開発工数・コストがかかります。
決済代行を活用すれば、システム管理者は決済代行会社になるため、自社で更新に伴うシステム開発を行う必要がなくなり、開発コストの抑制が可能になります。
続いて、決済代行サービス利用を検討する際の注意点などについて、説明していきます。

サブスクリプションビジネスで決済代行を導入するときの注意点

メリットばかりに見えるサブスクリプションビジネスですが、デメリットも存在します。
ここからは決済代行を導入する場合の注意点や、代行会社を見極めるときのポイントを説明します。

決済代行コストがかかる

決済代行会社は、代行手数料を徴収することで運営しています。代行手数料は管理する決済サービス・決済方法ごとにさまざまです。
新たな決済サービスを追加契約することを考えている場合は、さらに代行手数料を納めなければなりません。

決済代行サービスを利用するには、サブスクリプション型ビジネスのユーザー数が十分に確保できていることが前提です。
ユーザー数が足らないと利益を損なう可能性もあるため、決済代行を導入してもなお十分な儲けが見込めるか、事前に検証しておく必要があるでしょう。

セキュリティリスクへの対策を確認

決済業務では個人情報を多く取り扱うため、セキュリティリスクへの対策は必務となります。
特にオンラインでのクレジットカード決済は、セキュリティ上の危険と常に隣り合わせです。
トラブルを避けるためにも、数々のセキュリティ要件をクリアしたシステムを構築して、早急に高度なセキュリティ対策を施す必要があります。
ところが、あらゆるリスクに耐えうる堅牢なシステムの構築には、数千万円かかるともされ、自社内で対応するのは容易ではありません。

決済代行会社を比較検討する際には、セキュリティに関する十分な技術を持ち、相応の費用を投じてあらゆるセキュリティリスクに耐えうるシステムを構築済みか確認しましょう。

柔軟な対応が可能な会社を選ぶ

サブスクリプションを利用するユーザーごとに、サブスクリプションを利用する理由もモチベーションも異なります。
決済方法に対しても同様で、ユーザーごとに求める決済方法は異なります。ただし、ユーザーのニーズに応える決済方法が存在しても、その決済を代行できるかは、決済代行会社次第です。そのため、事前に各決済代行会社の強みや、対応できる決済方法の種類を確認することが大切です。

また、既存の決済方法以外に自社独自のポイント決済などの方法も採用している場合は、決済管理ツールの設定に独自の決済方法が追加できるかも確認しましょう。サブスクリプションでは、コース変更・料金変更・解約などがつきものです。金額や請求のタイミングの変更などにもスムーズかつ柔軟に対応できなければ、ユーザーの満足度も下がり、解約の憂き目にあうことも考えられます。

まとめ

サブスクリプションサービスに対するニーズの多様化に伴い、求められる決済方法もユーザーごとにさまざまです。それらのニーズに対応するためには、各種決済方法に対応したうえで、決済業務の漏れやミスをなくして業務を効率化することが必務となります。
こうした背景もあり、決済代行会社を利用する事業者は増えていますが、決済代行会社を選ぶ際には、コストや柔軟性に加え、セキュリティ面も考慮し、自社の方針に合った決済代行会社を選択しましょう。